キモノスリーブとは、日本の着物の袖からヒントを得て作られた袖の種類で、実際の着物の袖のつくりとは異なるのですが、肩と袖の切れ目や縫い目がない袖の形です。
今回作ったのは肩と袖だけでなく、前身頃と後ろ身頃もひとつづきの裁断方法にして、ゆったりしたシルエットの簡単なトップスです。
着物の帯をイメージしてウエストベルトは太めにしています。
袖の幅が大きいので、1枚で着るトップスというよりは、中にタンクトップや長袖ニットなどとコーディネートして重ね着で着るのがいいですよ。
襟ぐりも少しゆったり目にしています。
フリーサイズの無料型紙をダウンロードできるようにご用意していますが、伸縮性のあるニット生地で作るので、生地の伸縮率と着る人のウエストサイズに合わせてウエストベルトの幅は調整してくださいね。
今回は細いボーダー柄で作りましたが、前身頃と後ろ身頃が一続きなため、大きな柄だと柄合わせがしにくいと思います。
用意するもの
- 110cm幅×約150cm
【フリーサイズ】キモノスリーブトップスA3 PDF型紙
A3用紙7枚に印刷できます。着丈 | 胴回り | |
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サイズ | 約64cm | 約80cm |
ダウンロード | キモノスリーブトップスA3 PDF型紙 |
※ウエストベルトの型紙の幅は9号サイズの目安で作成しています。
生地の伸縮率と着る人のウエストサイズに合わせてウエストベルトの幅は調整してください。
PDFデータは家庭用プリンターやコンビニ等で簡単に印刷できます。
メルカリをはじめ、当社サイト以外で販売されているOHARICO型紙やキット、OHARICO型紙を使用したインターネット上での販売物は違法な商品です。ご注意ください。
生地の裁断と印つけ
今回の型紙は前身頃と後ろ身頃がつながっているので独特な形です。縫うところが少ないので比較的簡単に作れますが、生地の裁断に広めのスペースが必要です。
私は裁断するとき、こちらのビニ板を床に置いています。800×1200mmあるのでたいていのものはこれで解決。はじめはテーブルに置いていたのですが、ここからはみ出した生地が床に垂れて重みで生地が伸びてしまったり、切りやすい方向を探してテーブルの周りをウロウロするのも大変だったし、力をいれて切りたい素材なんかは、テーブルだと背の低い私はなかなか力が入らず苦戦したので、床に最初からカッティングマットを置いてしまったほうが楽だし作業がスムーズだと気が付きました。
ダイニングテーブルなどを片付けて裁断する人にも、マットを丸めて片付けられるからいいかもしれないです。ちょっと重いけど。
型紙についている二重の半円のマークを「わ」といいます。
生地を半分に折った折山に「わ」のマークを合わせて裁断します。
青丸を描いたところに印をつけています。
簡単なきりじつけは型紙の上から、2本どりの仕付け糸で印をつけたいポイントを通して、短く切っておきます。
生地を2枚重ねているときは、生地と生地の間もはさみでカットしておきましょう。
「きりびつけ」とか「きりび」と呼ぶ人もいます。普通のきりじつけよりも簡略化したやり方ですが、糸が抜けてしまわないようにさえ気をつけていればこの1本通すだけのきりじつけでも十分ですよ。
タックをたたむ
前身頃、後身頃ともに左右に2本ずつタックがあります。表から見て中心に向かってタックをたたみます。
たたんだタックをマチ針で留めたら、端から0.7cmくらいのところをミシンで縫い留めておきます。
襟ぐりを縫う
アイロン台の上で裏側を上に向けて置きます。襟ぐりの周囲1cmを測って外側に折ります。
クロバーのスライドゲージがあると測りやすいですよ。
前後左右になる4か所をまず測って、マチ針で固定します。
その間を埋めるように1cmずつを測りながらマチ針を固定していき、折り目にアイロンをかけます。
襟ぐりは三つ折りにするので、さらにもう一度外側へ折って、マチ針で留めていくという作業を1周ぐるりと繰り返します。
端から0.2cmほどのところにコバステッチをかけます。
端から1~2mmをミシンで縫うことを言います。ほかに端ミシン、コバミシンなどの言い方があります。
襟ぐりの始末ができました。表から見るとステッチが入っているだけのシンプルな方法です。
袖下を縫う
身頃を中表にして半分にたたみます。前身頃と後ろ身頃の袖下を合わせて、端から1cmのところを縫います。
ロックミシンを持っている人はロックミシンで、家庭用ミシンのみの方は、縫ってから端をジグザグミシンなどで始末しておきます。
袖下の縫い代は、アイロンで後身頃のほうに倒しておきます。
ウエストベルトを縫う
ウエストベルトを中表にして横方向の端を合わせ、端から1cmの所を縫います。
縫い代の位置をアイロンがかけやすいところまでずらして平らに置き、どちらか片側にアイロンで倒します。
筒状になったウエストベルトを表に返し、縦方向の端を合わせて半分に折ります。
縫い代が重なって厚みが出すぎる場合は、縫い代部分だけが互い違いになるようにアイロンで押さえます。
最初に縫い合わせたつなぎ目を脇にするとして、ちょうど反対側の位置が反対側の脇になるように印をつけます。印がわかりやすいように大き目のマチ針をつけています。
脇と脇の印が中心になるように合わせると、今度は両端が前と後ろの中心ポイントになるので、そこにも大き目のマチ針で印をつけています。
身頃とウエストベルトを縫い合わせる
身頃のほうにも、脇と前と後ろの中心ポイントに大き目のマチ針で印をつけます。
ウエストベルトの内側に身頃を入れるようにして下端を合わせ、先ほど印をつけていた両脇と前後の対応する位置同士を合わせます。
ポイント同士を合わせると、身頃のほうが少し長いと思いますが、縫いながら合わせていくのでそれでOKです。両脇と前後だけだと安定しないので、それぞれのポイントのちょうど真ん中もマチ針で留めていきます。
これで、身頃とベルトの8等分した場所同士が合っていることになります。
ロックミシンを持っていても、いきなり切りながら縫うと失敗しやすい場所なので、マチ針の代わりに仮止めするつもりで直線縫いミシンでぬっていきます。
ベルト側を下に、身頃側が上になるように縫おうとしているのですが、身頃のほうが長いため、少し波打っています。
縫いはじめはミシンの針を挿した状態で、ベルトが身頃とまっすぐ合うようにひっぱります。ひっぱって平らにした状態で縫っていきます。
伸縮性のある生地で作っているので縫い目は平らですが、手を離すと自然とギャザーが寄ったような縫い上がりになります。
一周ぐるりと縫えたら、ロックミシンやジグザグミシンで端の始末をしますが、この時も平らになるようにひっぱりながら縫ってください。
ベルトと身頃が縫い合わさって、端の始末ができました。
袖口の始末をする
二つのパーツが縫い合わさり、着物スリーブトップスの形ができました。
袖口を三つ折りにして、コバステッチをかけて完成です。
キモノスリーブトップス完成
パーツが少ないので、簡単に縫えるトップスです。
洋裁初心者さんやロックミシンを買ったけど何をつくっていいかわからないという人にもおすすめ。
肩の縫い目がないので、生地の自然な動きが女性らしい体の線を美しく見せてくれますよ。
ウエストベルトは体にフィットしているけれど、おなか周りはあいまいになるシルエットなので、いろいろごまかせそうな着やすいデザインだと思います(笑)
スカートにもパンツにも合わせやすくて気張りすぎないリラックスした服ですが、素材を変えると大人っぽくもなり、ちょっとしたお出かけ着にも使えそう。
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